はかりの誤差要因

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はかりを使う上で意識すべきこと

はかりには、計測原理や構造・材料等の内部要因、使用環境等の外部要因が相互に影響しあい、様々な誤差要因が存在します。
用途に応じた必要な計量精度を確保するためには、誤差要因を把握し、正しい方法ではかりを使用いただくことが必要です。

内部要因

1. 偏置荷重による誤差

「偏置誤差」とは、載せ台上の荷重位置の偏りによる、計量値の誤差のことです。

はかりは本来、載せ台のどの場所に置いて計量しても誤差がでない構造になっています。
しかし、長期にわたり載せ台の中央部分を外れた荷重をかけ続けていると、偏置誤差が生じる場合があります。
偏置誤差の原因としては、荷重を受け続けたはかりが、機構に幾何学的な(形状等)な狂いを生じること、複数のロードセルを使用したはかりの場合には、各ロードセルに性能の不均一が生じてくること、などが考えられます。

はかりをご使用いただく際、なるべく載せ台の中央に荷重が掛かるように注意することで、偏置誤差の発生を抑えることが可能です。

中央に載せると“10.000kg”
左手前では “10.005kg”
右奥では“9.995kg”

外部要因

2. 水平が狂うことによる傾斜誤差

はかりは水平面に対し垂直方向にかかる重力を検出する構造になっています。
はかりが傾いて設置された場合、物体にかかる力が、天びんに対して垂直な成分と水平の成分に分解されてしまいます。
結果、はかりに対し垂直な成分の力のみを検出することになるため、本来の質量値よりも表示値が軽くなってしまいます。これを傾斜誤差と呼びます。

傾斜誤差は、はかりの水平を取ってからゼロ点を合わせることで、防ぐことが可能です。
はかりの水平器の気泡が真ん中になるように、はかり本体のアジャスタで高さを調整してください。
水平器の気泡の位置だけでなく、はかりの四隅を押してガタツキがない事を確認することも必要です。

はかりを移動した際は、使用する際に都度水平を確認するようにしてください。

水平度による傾斜誤差

3. 重力加速度による誤差

はかりは重力加速度gを利用して質量を計っています。

重力加速度gは、物体に働く地球の「引力」と、地球の自転による「遠心力」の差です。
そのため、重力加速度は計量する場所の緯度と高度によって変化します。
北極や南極に近づくほど重力加速度は大きくなり、赤道に近づくほど小さくなります。また、標高が高いところほど、地球の中心から遠ざかる分だけ重力加速度が小さくなります。

・緯度による変化
日本の場合、緯度1°に対して重力加速度gは約1/10,000変化します。
例えば、北海道と鹿児島では緯度で約12°差があるため、約1/800の変化が生じることとなります。
・高度による変化
高度差による重力加速度の差は、1,000mあたり約1/3,000です。
例えば、1階で「200.00000g」を示した計量物を、4階(10m)に移動して計量すると、「199.99937g」と表示することになります。

重力・・・引力と遠心力の和
重力加速度による誤差

日本では重力加速度値分布を16区に分けており、使用する地区に応じて製造者が調整を行っています。
そのためはかりの遠距離移動には注意が必要です。

日本の重力加速度値分布

4. 温度影響による誤差

はかりは使用する環境の温度影響により、ゼロ点やスパン(感度)の変化が生じることがあります。
これは、主にはかりを構成している材料・部品やセンサの特性が、温度により変化することによるものです。

特に最小表示が1mg以下の高精度の電子天びんなどでは、急激な温度変化を避けるなど、感度への影響を考慮する必要があり、僅かな質量変化を正確に測定するためには、室温変化等に応じてこまめに感度校正を行う事が必要です。

温度影響に関する注意点

5. 風や振動、ノイズによる誤差

はかりは風や振動、ノイズ等の影響を受けます。

・ノイズへの対策
ノイズ発生源(インバータ等)から隔離する、ロードセルケーブルを電動機などのケーブルから離す、ロードセルケーブルを金属管に入れる、電動系と計装系のケーブルを離す、アースをしっかりとる、ノイズフィルタ・フェライトコアで高周波ノイズを除去する、などの対策が考えられます。
・風・気流への対策
エアコンの風が直接当たる場所や、人が良く通る出入口等における使用は避けてください。
高精度で最小表示が細かい機種は、より影響を受け易くなります。
・振動への対策
振動発生源とはかりを離す、または振動対策用の堅固な計量台を使用する、はかりの下に、柔らかい布や紙などを敷くのも避ける、などの対策が考えられます。

風や振動、ノイズに関する注意点

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